以前僕のレッスンに通ってくれていた生徒さんが、
何年振りかに連絡をくれて、
単発でレッスンを受けに来てくれました。
「どうしても今の自分を見てもらいたい」
ということで。
いや～、嬉しいですねぇ。
何が嬉しいって、
彼が歌をしっかり続けていたこと。
レッスンをやめてから何年か経っていたので、
もしかしたらもう歌から離れちゃったかな～
なんて思ってました。
ところがどっこい、
自分なりに練習を重ねて、
人にアドバイスももらったりしながら、
しっかり腕を磨いていました。
彼はそんなに歌が好きだったんだ！って改めて感じて、
なんだか嬉しくなっちゃいました。
そして、久々に聴いたその歌は、
以前よりも格段に良くなっていました。
やっぱり好きなことって、
どんな形であれ続けたいものですよね。
よくあるのが、
「歌がなによりも大好きでプロを目指しています！」
って言う人が、
「〇〇歳までに芽が出なかったらきっぱり歌をやめます」
って言うパターン。
で、実際きっぱり歌をやめて、
それ以来ほとんど歌ってない、
カラオケに行くこともほとんどない・・・
みたいなパターン。
これってホントに
「歌が好き」
なんですかね？
「なによりも歌が大好き」
だったんですかね？
そんなに「なによりも好き！」とか言ってたものを、
「きっぱりやめる」とか言えますかねぇ。
僕ね、そういうパターンの場合って、
結局「歌」が好きだったわけじゃないんだな
と思っちゃうんです。
まぁね、いくら好きなものでも、
時間がたって熱が冷めちゃったり、
飽きちゃうことだってあるし、
方向性が変わっていくこともあると思うんです。
でもね、少なくとも、
「好き」と思ってる時点ではそんなことはないわけですよ。
熱もあるし飽きてもいないわけです。
その時点では
「きっぱりやめる」
なんてこと、言えないと思うんです。
だって、ほんとに「歌」が好きなんだったら、
芽が出ようが出なかろうが、
「いつまでも歌っていたい」って思うでしょ。
プロになるかならないかっていうのは、
あくまでも歌うことにおいての手段の一つであって、
そうじゃなきゃ歌えないっていうわけではないんだから、
やめる必要はないでしょ。
純粋に、続けたいでしょ。
「それくらいプロになることに本気なんだ」
と思われるかもしれないですが、
だとしたらそれは、
「プロとして歌うことに憧れている」
のであって、
歌はそのためのツールでしかないわけです。
それは、
「歌うという行為そのものが好き」
とはちょっとニュアンスが違いますよね。
もしくは、もともとはほんとに歌が好きだったのに、
仕事にすることを意識しすぎるがあまり、
本来自分が大事にしたかったものが変わっちゃった
っていうこともあるのかも。
いずれにせよ、
「きっぱりやめよう」という続けない選択肢がある時点で、
そのもの自体が好きなわけじゃないってこと。
だから、当然続かない。
で、ずーっと芽が出なかったり
食えなかったりすると、
「成しえない」から疲れるんですよね。
だから、やめちゃう。
歌もやめちゃう。
そういうことだと思う。
「歌が好き」ではなかったわけだから、
間違ってプロになんてならなくてよかったね
ってことなんです。
実際に「歌うこと」自体が好きなんだったら、
「成しえない」とか無いんですよ。
現状で「好き」だと思えていることなら、
「こうじゃなきゃダメ」っていうことがないから、
「成しえない」がありえない。
好きなことって、欲は出ますよ。
もっとこうしたいなとか。
でも、
「そうならなかったらいらない」
とはならないでしょ。
好きなものはどうあっても好きなんだから。
だから続くし、続けたいんですよね。
「仕事にならなかったらきっぱりやめる」
って、一見カッコよく見えるけど、
やめる選択肢がある時点でそれ好きじゃないからね。
仕事のための「ツール」にしようと思ってただけだから。
「仕事にならなくても、どういう形であれ続けたい」
と思えてたら、
それ自体がほんとに好きなんだと思う。
書いててふと思ったんだけど、
これってもしかしたら、
「結婚できないなら別れる」
っていうのも同じかもね(笑)。
