「好きこそものの上手なれ」と言いますが、
それは色んな捉え方があると思っています。
なぜかと言うと、
「上手・下手」っていうのは、何か基準が必要なんですよね。
何ができるかできないかなど。
それに対して上下や優劣をつけることで、「上手・下手」という判断をします。
その一方で、
「好き」という感情は、人によって形も方向性も度合いも違うので、
そもそも上下や優劣をつけられるものではないんです。
上下・優劣をつけられるものとつけられないもの。
それを一緒の基準にして言い切ってしまうのは
なかなか難しいことだと僕は思ってます。
例えば、「走ることが大好き」という人がいたとします。
走ると気持ちがいい、
景色を見られるのが楽しい、
走った後の爽快感が好き、
などなど、
同じ「走るのが好き」でもどう走ることが好きなのか、
色々な感覚があると思います。
そこに必ずしも、
「そんなに走るのが好きならオリンピック目指せば?」
とはならないですよね。
「走ってタイムを競うことが好き」という人であればそれもあてはまるかもしれませんが、
ただ「景色を見ながら走ることが好き」という人にはあてはまらないわけです。
そこを同列に考えてしまって、
「走るのが好きなら速く走れて当然だよね?」
「タイムが早くならないなら走るの好きじゃないんじゃない?」
=「好きなら上達するだろう」
としてしまうのはちょっと乱暴ですよね。
歌で言えば、「どう歌うことが好き」なのかによるんです。
「歌が好きなら上手く歌えるんだよね?」
→これは、「一般的に上手いと言われる歌い方をするのが好き」ならあてはまります。
「歌が好きならカラオケで高得点出せるよね?」
→これは、「カラオケで高得点を出すための歌を歌うのが好き」ならあてはまります。
「歌が好きならプロ目指してるんだよね?」
→これは、「歌うことを仕事にしてお金を稼ぎたい」と思っているならあてはまります。
・・それ以外の人にはあてはまりません。
このように、同じ「歌が好き」でも、「どう好きか」によるんです。
だからもし、
「自分は歌が好きなのに、どうしてこうならない(上達しない)んだろう…」
と感じている人がいたら、
自分にとっての「歌が好き」は、「どう好きか」を
今一度考えてみてください。
例えば、
「歌っていて心地よくなることが好き」なのであれば、
「自分が心地よく歌う歌い方」はドンドン上達すると思います。
ただ、それは
一般的な歌の上手い下手、
カラオケの点数の良し悪し、
プロになれるなれない、
とはまた別物であるということを覚えておいてください。
「どう好きか」によって上達の仕方も変わるんです。
また、それが「まやかしの好き」だった場合も、
上達とは程遠くなります。
「まやかしの好き」に関しては、『上達を邪魔する「まやかしの好き」』で詳しく書きます。