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歌に「自分らしさ」「個性」を出すには


「うまい歌」と「いい歌」の違い』の記事の最後で、僕自身もお客様から

「Youもっとやっちゃいなよ!」


的なお声をいただくことがあったという話に少し触れました。

今回はその話を書いていきたいと思います。




僕は20代の頃、ステージで歌うお仕事をメインでやっていた時期がありまして、

一番多い時で、1日に5回のステージを週5日のペースでやっていました。



その頃にお客様からよくいただいていた声に、


「もっとやっちゃっていいよ」


っていうのがありました。



僕は、


歌のステージだから、まずは何より歌唱力でしょう!

歌唱力を上げなきゃ!しっかり歌を聴かせなきゃ!


と思っていました。



だから歌に関して自分的には、

声量もだいぶ上がったし、高音もだいぶ出るようになったし、

フェイクもアドリブもガンガンやってたし、テクニックも使いまくったし、

色々「やってる」つもりでした。



そしたらお客様から、

「歌うまいね〜!」と言っていただけることがとても多くなりました。


でも、「もっとやっちゃっていいよ」という声が減ることはなかったんですね。




じゃあ、ステージの「見せ方(魅せ方)」が足りないのかなと思って、

パフォーマンスにも力を入れるようにしました。


振りをしっかりやるようにしたり、ステージの上を動き回ってみたり、

客席をあおってみたり、MCを工夫してみたり、

これまた色々「やって」みました。


それでも、「もっとやっちゃっていいよ」って言われるんですよ。



「えー!まだ足りないの〜!?」

って思ってました。


何が足りないのか、何をやればいいのか、

もっと激しく歌ったり動いたりしなきゃいけないのか、

もうこれはステージの上で楽器でも壊すしかないのか(笑)、


全然分からなかったんです。




あと、もう一つよく言われたことで印象的に覚えてるのが、


「あなたはどういう音楽が好きなの?」


というもの。


ステージでは洋楽を中心に色んなタイプの曲を歌ってましたが、

基本的に自分も好きな部類の曲が多かったので、

「ここでやってるような曲が全般的に好きなんですよ」

と答えてました。


でも、お客様はなんとも納得いってない感じ。



実際、嫌いな曲を無理に歌ってたわけでもないし、

それなりにちゃんと歌いこなしてはいたつもりだったんですが。


「一番好きなアーティストは誰なの?」

「一番好きな曲はどれ?」

などと聞かれることもあったし、


「あなたが一番歌いたい曲を歌って」

とリクエストをいただくこともありました。




「そんなに客に気使わなくていいよ」



と言われたこともありました。





そういうのを全て思い返してみて、

ようやく気付いたんです。


お客様がボーカリストである僕に求めていたこと。


それは、


「僕らしさ」


だったのかもしれないと。




その当時、僕が心がけていたことと言ったら、


「ちゃんとお客様を楽しませないと」

「人が求めている歌を歌わないと」


でした。




自分が楽しいかどうかじゃなく、お客様が楽しんでいるかどうか。

自分が何を歌いたいかじゃなく、お客様が何を聴きたいか。


そういう意識で歌ってたんです。



普通にこれだけ見たら、もっともなことですよね。


お金をいただく身としてはそう考えるのが当然で、

お仕事ってそういうもんだと思ってました。


なんなら、

「歌」ってそういうもんだ(人に聴かせてなんぼだから)と思ってました。




でもこれ、「自分がない」んです。



一見素敵なことのように思えるんですが、

「他人軸」なんですよね。

自分の本来の意志じゃないわけです。


だから、


「もっとやっちゃっていい」=「もっと自分を出しちゃっていい」


って言われ続けてたのかなと。




好きな部類の曲を歌っていたとは言え、

もちろん苦手な曲もあったし、あんまり歌いたくない曲もありました。


でも、お客様が聴きたいなら、喜んでくれるなら、

それが僕の「歌いたい曲」だと思ってました。



だから、


(あなた自身は本当は)どういう音楽が好きなの?

(あなた自身が本当に)好きなアーティストは誰なの?

(あなた自身が本当に)好きな曲はどれなの?

(あなた自身が本当に)大好きで得意で歌いたいと思う曲を歌って。


って言われてたんだなと。




上手いボーカリストなんていっぱいいるわけです。

技術があったり、見せ方が上手だったり、人気のある曲を歌えたり。


でも、僕というボーカリストは唯一僕しかいないんです。

その僕のステージを見に来てくださってるわけだから、

僕らしさが出ていない歌、ステージはそりゃ面白くないですよね。


せっかく生身の人間が目の前で歌ってるんだから、

その人らしさ、その人の良さが一番出るものを聴きたいですよね。


人気のあるアーティストさん達で、

「その人らしさ」が薄い人っていないですよね。



だから、「自分軸」が大事なんです。

もちろん、聴いている人のことを考えるのも大事です。

でもそれは、「自分軸ありき」の話です。


それがないと、その人が歌う意味がなくなっちゃうからです。

それがないと、芯のない表層的な歌になっちゃうからです。



ちゃんと自分の本当の「好き」を知る。

ちゃんと自分の本当の「好き」を出す。

人より、まずは自分が楽しむことを考える。

人が聴いてどうかより、まずは自分が歌ってどうかを考える。




それが、「自分らしさ」「個性」を出すってことじゃないかなと思ってます。


2018/6/20

ワイドボイス
ボイストレーナー 吉田研吾


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